映画「キャストアウェイ」50代感想
2月9日、カリブ海に浮かぶバハマ諸島の無人島でキューバ国籍の男女3人がアメリカ沿岸警備隊に救助されたとのニュースがありました。
ボート転覆後、島に泳いでたどり着き、淡水はなかったらしく、ココナッツ、貝、ネズミなどを食べ飢えをしのぎ、33日間生き延びたそうです。
今後どうやってというのが明らかになると思いますが、、、
このニュースを見て、映画「キャストアウェイ」を思いだしました。
まさに映画と同じような状況だと思いました。
もしかしたら彼らも主人公のように何とか生き延びることを考えていたのならと思い、観た感想を書くことにしました。
これは、2000年アメリカ映画でトムハンクス主演です。
1995年、12月フェデックスの運送会社で働くトムハンクスが演じるチャックは、クリスマスパーティー中に仕事でのトラブルのため呼び出されてしまう。
そのため婚約者であるケリーとのクリスマスを過ごせなくなってしまいます。
貨物機へ向かう車の中で、祖父もらったものだというケリーの写真が入れられた懐中時計をプレゼントにもらう。
不運にもマレーシアへ向かう貨物機は、悪天候のため、太平洋へ墜落。
4年もの間、たった一人無人島で生き延びたという話です。
私は、素直に観ていられたのですが、人によって現実的に考えて、不可能が多すぎると感想を持った方もいるようです。
そう言われて見れば、そうかもしれませんが、、、。
島に流れ着いて多分無人島であるとわかった時の気持ち。
映画の場面は、観光で行っていたら感動するようなほんとうに美しい青い海、青い空!
だけど、無人島だとわかったら、、、ぼうぜんとし、しばらくは何もできないでしょう。
「help,help」と叫んでも返事はない。
わたしだったら、泣く、、、。
泣くだけ泣いたら、もしかしたらと可能性を信じ私もひたすら歩き回り、何かを探す。
しかし、当然靴など流されてどこかへ行ってしまっているので、足を怪我し、彼と同じように足を守るための何かを作るか、、、。
貨物機に積まれていた荷物が流されてくる。
そして、何もしゃべらない仲間も、、、。
飛行機事故でも船の事故でも潮の流れで、流れつくところは同じなのだろうかと思う。
彼が履いていた靴、そして持っていたライトだけありがたくいただき、家族の写真とともに埋葬する。
このときのチャックは、、、もし彼と同じ運命だったら、、、と考えたら、生きていることに感謝していたはず。
水がなければ生きていけない。
葉についたわずかな水を飲み、落ちているココナツを食べようにも切るものがない。
石を使ってやっと割っても、中のココナツジュースはこぼれた。
想像通り、飲めない。
空腹でも生きていけない。
魚を取る方法もない。
木を突き刺してなんてうまくいくはずはない。
川遊びで、魚を捕まえようとしても無理だったから。
こんなところで生きていけないと、ゴムボートで逃げ出そうとするも大波にあおられ失敗。
おまけにサンゴで足を切って大けが。
諦める。
たまたま岩場を見つけ、そこを住みかにする。
そこにケリーからの懐中時計を置き、心のささえとする。
ケリーからの懐中時計があるかないかで生きるためのモチベーションが、随分違うと思う。
後日さらに流されてきた荷物を開封し、利用できるものを使う。
スケート靴の刃とひも。
ドレスのレース。
そして、ウィルソンのバレーボール。
なんとかカニや魚を捕まえても火がなければ、、、。
人類の始まりですね。
火をおこすのも苦労。
木の枝をくるくる回すあれです。
頑張って頑張って頑張って、、、。
でも木で手を思い切り切ってしまい、ムカついて、発狂して、そこにあったボールをつかんで思い切り投げる!
しかし、我に返り、ボールについた自分の血の手形に目を付け、顔にする。
彼が大切な仲間ウイルソンとなる。
いつでもウィルソンに話しかけるチャック。
なんかかわいかったです。
火おこしに再挑戦して、火がついたときのチャックの大喜びの顔!
私も思わず「やった!」って言っちゃいました。
チャックが生きていくうえで、ウィルソンは大切な存在。
ボールに書かれた顔でさえも、とにかく頼れる誰を作りたかったのではないか、、、。
だれかにいてほしかったのでしょう。
きっと小さな子がぬいぐるみやタオルを大切に抱っこしているのと同じ気持ちだったのでしょう。
さて、暖かい島なのでチャックは生きられたと思いますが、誰でも可能なのでしょうか
バハマの3人も。
私だったら?
何十年も前に戦争で負けたことを知らず、28年間もグアム島に隠れていた横井正一さんが発見されましたが、横井さんだから、チャックだからバハマの3人だったからできたんだろうなと思う。
温暖地か、寒冷地かでは間違いなく前者なら生きられる可能性は大きいと思う。
しかし、やはりその人の困難に立ち向かえる強さがどのくらいあるかが最も大きいのではないでしょうか。
助けが来るか、来ないか、来るならそれはいつか。
死ぬか生きるか、、、。
チャックは自殺を考えたが無理だったと。
死ぬこともできないとわかったら、望みがなくても生きる。
なんて怖い、つらい。
心の恐怖。
いつ終わるかもわからない孤独、そしていつか死ぬ。誰にも知られずに。
トムハンクスの演技には、引き込まれました。
「ウィルソン!」と叫ぶ場面は、まさに親友に向かってでした。
この映画のために20キロ以上の減量もしたそうです。
この映画を観ていたので、バハマで助かった人たちのこともすぐ想像できました。
彼らが、もしかして映画のようだったと言えばもチャックも感激するかもしれませんね。
チャックは無事に救助されるのですが、死んだことになっていました。
苦難を乗り越えたチャックですが、ラストは悲しい、、、。
でも、せっかく戻ってこられたので、これまで以上に素晴らしい生き方をしてほしいと思いました。
このような状況を今後私が経験することは100パーセントないと思いますが、もし自分ならと想像をかき立てられるような映画でした。